青葉台特集-3
おなかと心が満たされる
ホテルならではのおもてなし
「ホテルマンなら、『できません』というご返事は、すべきじゃないと思うんです」
自らの理念についてそう話すのは、東急田園都市線「青葉台」駅から徒歩約2分の場所に位置する「レストラン クーポール」の店長、加賀美善寿(かがみ・よしひさ)さん。
それもそのはず、同店は、「ホテル&レストラン 青葉台フォーラム」が併設するビストロであるからだ。利用客が望むことをサービスとして提供するのがホテル。つまり、ホスピタリティの神髄ということなのだろう。
常に心がけているのは、楽しい思い出づくりの舞台となること。料理のみならず、法事や記念日、プロポーズなど、さまざまなシーンに合わせた演出も、ぜひ相談してほしいとのこと。そこには、「ホスト役に徹する」というサービス業の原点がうかがえる。主役はあくまで客自身なのだ。
したがって、幼い子ども連れのファミリーも大歓迎。他人に気を使うのが嫌な場合は、個室を利用することもできる。
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「同じことは、ご提供している料理にもいえます」
後を続けるのは、白いコックコートをまとった料理長、石原勝(いしはら・まさる)さんだ。同店には、決まった「グランドメニュー」が存在していないのだとか。季節ごとの旬に応じて、随時内容をアレンジするのが「クーポール」流。
さらに、ランチやディナーコースにはプリフィクススタイルを採用。週や月によって変わる料理を、複数の選択肢の中から、自由に組み合わせることができる。
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ランチは1230円から、ディナーコースは3600円から、組み合わせは一例
また、食物アレルギーが心配な人は、事前に連絡をすれば対応してくれるそう。「生クリームが苦手だけど、華やかなスイーツを」といったわがままも、ぜひ寄せてほしいという。
もちろん、食の安全に配慮し、ワンランク上の食材を用意していることは言うまでもない。石原シェフにかかれば、旬のホタルイカがサラダに大変身する。
「ちょっとしたサプライズを込めて、ゲリラ的なアレンジをすることもあります」
それにしても、こうしたユーザー本意の精神は、どこから生まれてくるのだろう。その答えが知りたくて、加賀美店長の経歴をたずねてみた。
昔から、「自分が食べるよりも、他人に楽しんでほしかった」という加賀美さんは、迷うことなく調理師専門学校の門をくぐった。やがて卒業し、現場に配属されると、「情報が常に生きている」ことを実感したと話す。
学校で習ったのは、すべて過去の知識ばかり。ところが最前線では、食材や調理法などが常に進化し続けているのだ。
「給料を頂きながら勉強ができるわけですから、楽しい反面、責任の重さを感じましたよね」
やがて、店舗全体の責任者を任されるようになると、加賀美さんの意識が徐々に変化していった。元来、人と話すのが苦手であったにも関わらず、いままで得た知識を提供するようになっていったのである。
「料理名の中には、人や土地の名前のような、知ることでイメージが膨らむ要素が隠されているんですよ。味覚だけではなく、五感で味わっていただきたいですからね」
また、料理が残っている場合には、「お口に合いませんでしたか」と一声かけるようにしている。なぜなら、大切なヒントが含まれているかもしれないからだ。
一方、料理の責任者となった石原さんは、利用客との接点を持つことができない。したがって、加賀美さんからのフィードバックが、唯一の手がかりとなる。さらに、先輩シェフとしての知見が加味されるので、今では欠かせないプロセスになっているという。
「店長は、いろいろな意味で影響を与えてくれます。師であり、お客さまの代弁者でもあるわけですから」
リアクションを求めるなら、先にアクションを起こす必要がある。情報を提示するからこそ、さらなる情報が得られるのだろう。
そう考えると、定型のサービスを受けるだけでは、もったいないように思えてこないだろうか。そこで、にわかに現実味を帯びてくるのが、冒頭の話である。
利用客が望むことをサービスとして提供するのが、ホスピタリティの神髄。
「クーポール」の創造力には、一夜限りの魔法とは異なり、いつでも利用できるという再現性がある。今夜も、数多くのシンデレラが、同店のファサードを通っていくに違いない。
◆レストラン クーポール http://www.hotel-aobadai-forum.com/restaurant&lounge/
所在地/神奈川県横浜市青葉区青葉台1-5-8
TEL/045-985-2109 定休日/無休
営業時間
モーニングタイム/7:00~10:00、ランチタイム/11:00~15:00、ディナータイム/17:00~21:00(L.O.20:30)
アクセス/東急田園都市線「青葉台駅」より徒歩約2分
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