青葉台特集-2
メニューにないわがまま大歓迎
「あったらいいな」に会える店
桜台交差点の北側に位置するカジュアルイタリアン「bar ALBERO(アルベロ)」の店内に入ると、無垢(むく)材を利用した大きなカウンターが目に飛び込んでくる。その上で交わされるのは、こんな会話だ。
「きょうは、和風のパスタがいいな」
「とことんガッツリ系でいきたい」
「ベジタリアン向けの料理はないの?」
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オーナー兼バリスタの藤吉亮(ふじよし・りょう)さんによれば、固定したグランドメニューよりも、旬を生かしたオススメメニューに力を入れているのだとか。しかし、その上を行くのが一部の常連。メニューを見ずに、食べたいもののイメージを直接伝える。
「私を信じてくださっているのでしょう。期待以上の料理を造ってみようって気になりますよね」
店名の「ALBERO」とは、イタリア語で「木」を意味する言葉。
忙しい都会の鳥がゆったり羽を休められるような「止まり木」になりたい。そんな想いが、同店のコンセプトとなっている。
また、本格的なエスプレッソを味わえるのも、このレストランの特徴。その評判が漂う先は、県内にとどまらない。
「自分が楽しくなければ、お客さんだって楽しくないと思うんですよ」
そう話す藤吉さんは、昔から料理が好きで、カフェの世界に足を踏み入れるつもりはなかったらしい。しかし、バリスタとして知られる篠崎好治氏のエスプレッソを知ったとき、根本的な概念が覆されたという。
「それまでは、苦くて我慢する飲み物といったイメージがありました。でも本当は、『飲む香水』なんですよね」
そこで、本物のテイストを広めようと、横浜は関内でエスプレッソに特化した「Cafe Destino(ディスティーノ)」を開業。ところが翌年、東日本大震災が発災したのである。
徒歩で自宅に向かう人々を前に、1人で店に残り、深夜2時までドリンクを提供し続けた藤吉さん。
すると翌日、無事帰宅を果たしたお客さんの多くが、わざわざお礼を言いに同店を訪れた。
「自分が提供していたのは水分じゃない、『癒やし』だったんだ」
飲食店が持つ本当のポテンシャルとは何か、大切な事実に気付かされた瞬間だった。
その後、心の通うレストランを目指すべく、青葉台に進出。温かみの感じられる木材をふんだんに使い、手打ち麺をはじめとした食材にも独特のこだわりを持った。もちろん、カウンターの片隅には、自分の想いが込められたこの一台。
同店のランチタイムは午後3時まで。しかし、時間制限を設けていないため、ほとんどの利用客は「1回転」なのだとか。
「おなかを満たすだけなら、ほかの店でもできるでしょう。でも、ウチは止まり木ですからね。時間を気にせず、ゆっくりくつろいでいってください」とのこと。
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また、2人以上の参加者がそろえば、開店日の休憩時間を利用した「エスプレッソセミナー」を申し込むことも可能だ。カプチーノに絵を描くノウハウや、コーヒー豆を上手に保管する方法など、家庭でも実践できるヒントが盛りだくさん。
最近では、地元の店舗と連携したオリジナル企画にも取り組んでいるのだとか。その一例が、酒販店とコラボした日本酒キャンペーン。「イタリアンにも合う」と、反応は上々のようだ。
最後に、藤吉さんの原体験ともいえる、エスプレッソをいれていただいた。
白砂糖をふんだんに加えるのが、味のバランスを整える秘けつらしい。なるほど、ふくよかなフルーティさにあふれ、香ばしい余韻が持続する。
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これからは、ジャズライブのイベントやワークショップ、料理教室などにも挑戦してみたいとのこと。どうやら、「ALBERO」という名の木は、青葉台という地に文字通り根付きだしたようだ。大きく張り出した枝で、さまざまなシーンが繰り広げられるのも、そんなに遠い日のことではないだろう。
◆bar ALBERO http://www.albero.biz/
所在地/神奈川県横浜市青葉区桜台26-1 第三アサキビル1F
TEL/045-988-6533 定休日/火曜日
営業時間 ランチタイム/11:00 – 15:00 (L.O.14:30) ディナータイム/18:00 – 23:00 (L.O 22:30)
アクセス/東急田園都市線「青葉台駅」より徒歩約11分
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