【バックナンバー】―ミュージカルの魅力を。そして”Everybody is beautiful”を私なりに伝えていきたい― Marika Abe ブロードウェイへの挑戦  

2016年8月記事・バックナンバー(AnimatoMusicartsより転載)をご紹介

アーティストインタビューVol.8  ミュージカル女優・シンガー Marika Abe  記事

記事用

プロフィール Marika Abe
神奈川県立神奈川総合高校卒業後、メリーマウント・マンハッタン・カレッジ(NY)にてシアター・ パフォーマンスとミュージカル・シアターを専攻し、2012 年卒業。

2014 年 3 月フロリダにあるモルツ・ジュピター劇場にてミュージカル King and I (王様と私)に出演 (演出は世界的に著名でトニー賞ノミネートの経験もあるマーシャ・ミルグロム・ドッジ。主演はブロードウェイスターのミシェル・ラグサ)

オフブロードウェイでは子どものためのミュージカル・オスカー・ワイルドのセルフィッシュ・ジャイアントにメインキャラクターとして出演。
NYリンカンセンターやヨーク・シ アター等のショーにフューチャーシンガーとして出演。またオハイオ州にあるウエザべーン・シアターのショーではダンスキャプテンを務めた。
また、音楽監督のアシスタントとして数々のショーにも関わった。

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ちょうど今から1年前。 2015年の8月。強い日差しが照りつける、みなとみらい地区にほど近い野外の一角。地域の催しが行われていた。
さまざまなパフォーマンスがステージ上で繰り広げられ、その前を人々が行き交っていた。「若者」を主体に横浜を盛り上げる。そんな主旨で毎年行われるイベントだったようだ。
その場所で私は、Marikaさんと初めて会った。
そのころ私は演奏家派遣の依頼を受けて、女性シンガーを探していた。アメリカのpronunciation(発音)でJazzが歌える女性。それを自分の中で絶対の条件にして探していたが、なかなか見つからない。ステージは1か月後に控えており、日ばかりが過ぎていく。少し焦りも出てきていた。
時を同じくして、たまたま知人の紹介で、Marikaさんと顔合わせの機会を得ていた。ブロードウェイを拠点に、「舞台女優」として活動している日本人女性がいるとのことで、会ってみるといい、と言われていたのだった。
まさかその縁が、ここまで彼女と仕事を共有することにつながるとは。その時には思いもよらなかった。 ―盛島さつき―

 

―ミュージカルの魅力を。そして”Everybody is beautiful”を私なりに伝えていきたい― Marika Abe ブロードウェイへの挑戦
(Marika Abe:寄稿 写真:日野友美子)
―なぜブロードウェイを目指すのですか―
Marika  :  まずはじめに、舞台(Theatre)についてお話しさせてください。
舞台とは、ステージだけを指すのではなく、客席と空間含めた全てをいいます。
作品のクオリティーがよければよいほど作品のメッセージや伝わる感動が違います。
ステージ上でのパフォーマンスと客席が同じ空間・時間・瞬間
(MOMENT)を共有している中で、いろいろな感情やエネルギーを交換というか、interact(お互いに影響しあう)する場所を提供する。それが舞台だと、私は理解しています。
ディレクター、プロデューサー、振付師、照明デザイナー、衣装デザイナー、音響デザイナー、ミュージシャン、アクター、ダンサー・・・。
作品を、作品のメッセージをより多くのお客さんに伝えるために協力し作り上げる、それが舞台です。
ブロードウェイは、まさに各フィールドのトップの人たちがものづくりをする場所です。
私はメッセージを伝える媒体。
社会的なことを伝えたり、発信する方法は様々あります。舞台もその一つです。
舞台芸術を通して、作品だけでなく役者やデザイナーもそれぞれのメッセージを伝えています。
Theatreは、英語ではLive Theatre. Live performance.と言います。
“Live(ライブ)” つまり、「生きている」
“シアターアーツ(舞台芸術)は、役者と制作者だけでなく、その日その日違う観客とが織りなすコラボレーションからなる芸術であり、だからこそ、人の心を揺るがし変化をもたらすことができる。
私はこのことをアメリカで舞台を踏んでいく上で身をもって経験し、ますますこの世界で生きていきたいという想いを強くしました。
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でも同時に、私には周りの人とは違う壁があることも知ることになりました。
アメリカは多種多様な人種、文化が混在しているところです。たくさんの国の人々が集まってきているにも関わらず、舞台や映画の世界では明らかな人種的な格差が存在していることを否めません。
人種的な雇用機会の差別は、かなり改善されてきたものの、アジア人が役をもらえるチャンスは非常に少ないのです。
もともと、アジアを舞台にした作品が少なく、アジア人の役が限られていることもあります。
私のようにアジアで育ったアーティストがブロードウェイのあるNYで、そしてアメリカで活躍することによって、日本だけでなく、アメリカや世界の社会貢献に何かしらの形で繋がるのではないか。
そう信じています。

 

 

 

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2)Love Letter No Letterの活動内容と、始めるにいたった経緯について、教えてください。
日本に帰ってくるたびに感じる違和感があります。それは、それぞれが常に自分をあからさまに人と比べていること。何かと自分にラベルを貼るような発言を耳にすること。
自分を、人をなんらかの形でカテゴライズすることによって、その人の本当の姿やその人らしさを押し殺してしまっているのではないかと思います。
「私は私、人は人、違っていいじゃん。」
違うことを受け付けられないのは、ある意味危険で悲しいことだと感じます。
どの国でもそういうことってあるのだろうけど、少なくとも自分は自分でいいじゃない、っていうシンプルな、でもとても重要なメッセージをアメリカでは目にするし、そういうメッセージが込められた素敵な曲をたくさん耳にしてきました。
人権啓発活動をしている母に、こういうことに違和感がある、などと話していた時、
「それを歌なりなんなり伝えればいいじゃん。」と言われたのが、きっかけです。
もしかしたら、私にも何かできるかもしれないと思い、それがコンサートという形に行きつきました。
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「ラベルをつけるように自分や周りの人をカテゴライズしないで」というメッセージを歌のラブレターとして伝える・・・という意味を込めた“No Letter Love Letter”の題名を、友達につけてもらったのをきっかけに、コンサートの中身や方針がもっと明確になりました。

 

日本とアメリカの違い。特に同世代を含めた若者について思うこと。
日本とアメリカっていうことで比べなくてもよいのかもしれないのですが、
アメリカでは“自分は自分でいてよい”といったポジティブなメッセージを、より耳にしたり目にすることが多いです。
自分は自分でいていい。どんな見た目でも、どんな思想の持ち主でも、どんな人であっても、あなたは素晴らしいといったメッセージを発信しているアーティストも多いし、人権問題の取り上げ方も違うと感じています。
女性の商品化、商業化はアメリカでも、ヨーロッパでも、大きく社会で問題視されていますが、私も女性の性が商品化されていると感じます。
(特にNYで、様々な社会問題や、歴史などのトピックを日々扱う舞台芸術の業界にいるから、よりこういった情報や声を耳にきたのかもしれませんが。)
雑誌や広告、映画・・・様々な面で作り出された理想・魅力的とされる女性像。
まるでその“見た目”を持っていないことはugly(醜い)というようなメッセージを感じます。
モデル並みに細いことが理想であり、その体型に当てはまらない人は皆太っている、スタイルが悪いといわんばかりに。
特に日本では広告や雑誌、映像等で魅力的とされるイメージが全てな気がします。でも、そんなことは一切気にしなくていいということ。
それぞれ違う外見や中身の魅力を持っているのだから、メディアなどを通して作られた”理想の女性“といったものを追うことによって自分を卑下したり、自信をなくさないでほしいということ。
これを女性だけでなく、すべての人に伝えたいと思うのは、”人と違う自分”を受け入れることによってもっともっと周りの人を受け入れ、認められることにつながる。
自分を大切にすることが自分の大切な人たちを守ることにもつながるからこそ、自分を大切にすることを自己中、とか自意識過剰などと思わないでほしい。
人と違う自分に自信を持ってほしい。英語でBeautifulという言葉は見た目で判断する美しいという意味もありますが、どちらかというと、実はもっと中から滲みでてくるもの、その人や作品のオーラ・人柄など、”素晴らしい” “素敵”と思ったことを表現するときに使われることが多いと思っています。Christina Aguilera の”Beautiful”という歌はまさに私が言いたいことが詰まっていると思っています。 PVも好きです。
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4)自分自身にこれまで訪れた困難について。またそれをどのように乗り越えましたか。
外国人としては、まず周りの話題についていくこと。(留学当初は特に、友人と接する上で、話についていけないことでもどかしさを感じることもよくありました。)
役者としてやっていく上で必要なのは、なんといってもニュアンスです。
ニュアンスは、背景にある文化をすべて理解してこそ、伝えられるからです。
ニュアンス:文化
語学ができるだけではやっていけない。その時の流行りや歴史などが大いに言葉の表現の仕方に影響します。
積極的にテレビの番組やニュース、映画を見ることでいろんな表現や文化、歴史を学ぶように努力しました。
アクセント:方言
英語は音がとても細かく、日本語は子音・母音ともにとてもシンプルでかつ少ない。
まず、自分の言語にない音をまず聞き分ける耳が必要。それだけでなく、その音を発するためのプレイスメント(音を当てる位置)、口の筋肉も慣れていない音を自然にいつでも発せられるようになるためには地道なトレーニングが必要です。
発音だけでなくイントネーションの違いを理解することも重要です。
子供の頃にアメリカに住んでいたこともあって、発音はいい方だったのですが、ネイティブレベルの英語を発するようになるために、専門家のDialect coach(音声学の専門家)について少しずつ獲得していった。
アクセントは各国・各エリアも含めて 無数に存在します。
アメリカ国内だけでもそれぞれの地域ごとに言葉の発音の仕方やイントネーションがかなり変わってくる。
アメリカ人の役者でも、自分が喋り慣れていない他のアクセントを身につけることはとても困難です。
しかし、役者としてやっていくためにはアクセントを使いこなせるようにならないと、自分のできる役の幅を狭めてしまうので演劇専攻の生徒は全員必修で、方言やアクセントの授業を受けるのです。
Dialect coachの先生と個人レッスンを毎週少しずつすることで、イントネーションや他の細かいことをトレーニングし、獲得してきました。
NYに戻り次第、自分自身の発声などの調整をするだけでなく、もっと多くの地域のアクセントをトレーニング、獲得することで自分の幅を広げていきたいと思っています。
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5)日本にいる間に、アーティスト、ダンサー、役者として、やりたいこと、表現したいことについて。
母のNPOの団体でも言っている、「自分を大切にしていい」というメッセージや、
「Everybody is beautiful 」といったメッセージを、私なりにできる形で伝えていきたい、そう思っています。
また、芸術、パフォーミングアーツをエンターテイメントとしてじゃなくて、もっと身近に感じてもらうためのきっかけ作りをしていきたい。
ミュージカルや曲などの魅力をもっと多くの人に知ってほしい。
ミュージカルでは、言葉だけでは表現できないほどに感情が膨らみあがると、自然に歌い始める。それでも表現しきれなくなると、次は体を使って踊り出す。
ミュージカル俳優は歌っているけど、歌っていると思わせるのではなくて、観客はその人の話に集中して、歌っていることを忘れさせるほどの演技/ performanceが求められる訳です。
もちろん私はそんなミュージカル俳優を目指しています。
アーティストとして社会に貢献してきている意識でいるし、もっともっと社会(日本・アメリカ・世界)のためにもtheatreのフィールドで活躍していきたい。
そのためにも、常に自分自身が努力をし、自分にできることを模索していきたいと思います。

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Marika Abe 出演情報

8/14(日)横浜美術館レクチャーホールにて開催、

同日異なるコンサート、2公演に出演。昼の部と夜の部の全く異なるMarika Abeのパフォーマンスは必見です。

通しチケットお買い求めのお客様に、割引適用ございます。

yokohamaviaggio@gmail.com  または、 TEL090-5323-2201 まで直接お問い合わせください。

チケット予約 http://animato-ma.shop-pro.jp/

昼の部宮沢賢治と出会う夏 星めぐりのコンサート

昼の部バナー

http://animato-musicarts.net/2016/08/14hoshimegurinoconcert-animato

 

夜の部 箏とピアノクラシックとミュージカル Love and Stars

Love_and_Stars_Digitalバナー

http://animato-musicarts.net/8/14loveandstars-concert

Post Author: staff_01

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