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横浜市内で営業を続ける「個性的な銭湯」を応援したい。
そんな想いから始まったこの特集では、「神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合」オススメの銭湯を、順次ご紹介していく予定。その第4弾は「珍しい軟水の銭湯」が楽しめるという、鶴見区の「澤の湯(さわのゆ)」。
水質の違いは何に影響してくるのだろう。約半世紀をかけて同施設を見守り続けてきた、ご主人の山本龍行(やまもと・たつゆき)さんに、軟水の魅力を語っていただいた。
-まずは、「澤の湯」の由来を教えてください。-
それが、よく分からないんですよ。私は4代目で、この銭湯を受け継いだときには「沢の湯」でした。由来をよく聞かれるので、家の中を調べてみたら、昔使っていた焼き印を押す道具が出てきましてね。どうやら昔は「澤」の字だったらしいんだけど、それ以上は追えなかったな。いずれにしても、知ったからには、「澤の湯」に戻しました。
軟水に変えたのも自分の代。以前はサウナ風呂があったんですが、大きくて視界を遮るし、「ジャマだな」と。替わりに何がいいかってときに、女優のマドンナが軟水を使っていると耳にしまして。美容にも良さそうだし、やるならトコトンってことで、専用の機械を導入しました。カランから風呂水まで、一貫して軟水が供給される仕組みになっています。
-機械で変えているのですね。硬水とは何が違うのでしょう?-
硬水と軟水の違いは、カルシウムとマグネシウムの含有量です。簡単に言うと、余計なものが含まれていないのが「軟水」。ミネラル分が多いと「健康にいい」イメージがありますが、実はそうともいえないらしいんですね。この除去作用を行うのが軟水機で、塩素やカルキなども取り除いてくれます。
当施設では、浴室の約3分の1を浴槽が占めています。薬湯もありますが、基本はお湯そのものを楽しんでほしいから、余分な設備は一切ナシ。シンプルですよ。おかげさまで、お客さんからは、「ポカポカ温まる」という声が寄せられています。
かつての横浜市内には、軟水を使った銭湯が3軒あったと聞いています。ところがいずれも廃業してしまって、今ではココだけ。それを知ってか、わざわざ遠方からお見えになるお客さんもいらっしゃいま
-こちらでは、番台形式を採っていますね。-
1990(平成2)年にリニューアルしたのですが、フロントにすると、周りに囲いができて、お客さんの顔が見えなくなるでしょ。ですから、形の上だけですが、会話が生まれる番台を残しました。ぬくもりのある木でできているのも気に入っている点で、石材だと「おなかが冷えちゃう」でしょ、健康には良くないよね。
後ろにあるステンドグラスを見て下さい。長針がはみ出している一角があります。実はこれ、厄よけになっています。油絵の画家をしている私の叔父によれば、ヨーロッパに伝わる風習なのだとか。その話を聞いたとき、「澤の湯」の隠れたシンボルになればと考え、採用しました。
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-「澤の湯」ならではの、独特な取り組みはありますか?-
地元の子どもたちが参加するサッカー合宿などが一例ですね。昼はグラウンドで練習、サッカーが終わったらお風呂に入って、夜は学校でお泊まりという流れです。
今の子どもって、昔とはまったく違って、すごいですよ。コッチが常識だと思っていることが通じないんですから。例えばこのタオル、何て呼ぶと思いますか? 「フェイスタオル」なんですってね。1回顔を拭いたら洗濯機へポン、体はスポンジで洗うんです。
だから、どういうことが起こるかっていうと、タオルを絞れない。一度、小学生を相手に「タオル絞れますか」キャンペーンを開催したことがあるんです。小学生の場合、きちんとできるのは、上級生を含めて10人に1人ぐらいかなあ。困っちゃいますよね。
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-ご主人にとって、ずはり「銭湯」とは?-
自分の人生でしょう。オギャーと生まれてからずっとここで暮らしているわけですから。
かつては、オート三輪に乗って、まきを集めていたことを覚えています。この辺は工業地帯ですから、産業道路沿いの会社に行けば、梱包用の木材がいくらでもあったんです。一般の住宅も、現代風な住宅に建て替えていたので、廃材には困りませんでした。
一方、燃やしてはいけないものも燃やしましたね。どのような物かって? 例えば、旧電電公社の電柱や旧国鉄の枕木。「引き取ってくれ」と持ち込まれることが多かったんですが、あれにはPCB(ポリ塩化ビフェニル)という防腐剤を染み込ませてあるので、燃やすと有毒ガスが出るんです。今だから言えることですが・・・。
ところが、昭和の終わりぐらいから、リサイクルの時代に入りましたでしょ。梱包木材も出なくなったし、プラスチックを引き取るわけにはいかないし。そう考えると、昭和から平成への移り変わりを燃料という点で目の当たりにしたのが、銭湯という商売なのではないでしょうか。
-最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。-
横浜市では毎月15日に、お年寄りに向けた優待入浴サービスを行っています。鶴見区だけ第三日曜日ですが、料金の一部を市が負担する仕組みです。このような機会を通じて、ぜひ、ファミリーで来てほしいですね。
ご家族のコミュニケーションが取れますし、公園デビューじゃないけど、町内につながりもできるでしょ。その日だけで、おじいちゃんとおばぁちゃんが100人ぐらい集まりますから。
それと、自宅で独り暮らしをされている場合、入浴事故の多いことが気がかりです。お年寄りのなかには、自宅での入浴を怖がる余り、冬でもシャワーだけで済ます人がいます。本当はお風呂に入りたいのに、我慢しているなんて、かわいそうじゃないですか。連れ出して、ぜひ親孝行してほしいですよね。これが、私からのお願いです。
【基本情報】
正式名称/澤の湯
住所/〒230-0047 神奈川県横浜市鶴見区下野谷町1-43
アクセスJR鶴見線「国道」、もしくは「鶴見小野」より徒歩約7分
TEL/045-511-5701
定休日/不定休
営業時間/14:00~24:00
創業/1924(大正13)年
【料金】
県内共通/大人(12歳以上)470円、中人(6歳以上12歳未満)200円、小人(6歳未満)100円
【設備】
超音波風呂/気泡風呂/電気風呂/座風呂/寝風呂/薬湯/駐車場/コインランドリー/貸しタオル
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