横浜市内で営業を続ける「個性的な銭湯」を応援したい。
そんな想いから始まったこの特集では、「神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合」オススメの銭湯を、順次ご紹介していく予定。今回の第2弾は、「みなとみらい地区のランナーが利用する」という、中区の「恵びす温泉」。
ひとっ風呂ならぬ「ひとっ走り」姿が見られるのか。ご主人で中区の副支部長を務める、中村智一(なかむら・ともかず)さんを訪ねてみた。
-ランナーの利用が多いと伺っていますが、きっかけは何だったのでしょう?-
あれは10年ほど前、皇居マラソンがはやっていたころになりますか。ある日、お客さんから問い合わせがあったのです。「ランニングをしている間に、荷物を預けられないか」って。
それからというもの、同じような電話が頻繁にかかってきたり、団体さんが定期的に利用されたり・・・。当時は4・5人だったグループが、いつの間にか40人ぐらいになっていたこともあります。きっと、ランナー仲間というのか、横のつながりがあるんでしょうね。
最近、「ランナーズステーション」のような施設も増えてきたようですが、銭湯なら、基本料金の470円で同じことができますからね。経営している側にとっては、まさに盲点。そんな利用の仕方があるのかと、勉強になりました。
-つまり、皆さんは、走る前に立ち寄るのですか?-
そういうことになります。まずこちらへ来て着替え、夜景を楽しみながら汗を流し、それからお風呂というパターンが多いですね。ロッカーのカギはフロントで預かりますので、紛失の心配はありませんし、安心してランニングを楽しんでいらっしゃるようです。
また、神奈川県公衆浴場生活衛生同業組合が主催となって、「神奈川Runner王国」という企画を立ち上げています。協賛に付いてくださったメーカーさんが、距離に応じたいくつかのモデルコースを作成してくれましたので、初めての人でも参加しやすい環境が整いました。
-ほか、どのような利用客が多いのでしょう?-
主に地元の人です。なかには毎日来てくれる常連さんもいらっしゃって、「この間行った温泉旅館より、コッチの方が良かったよ」なんて言われると、うれしくなってきますよね。ほか、場所柄でしょうか、中華街で働く外国の人も利用されます。おそらく、銭湯を利用するのは初めてなのでしょう、どうやって入るのかが分からなくて、パンツをはいたまま入浴されるケースも。そんなときは、常連さんたちがやさしく注意してくれます。
そういえば、私の子どもも毎日利用しているんですよ。周りの人からかわいがっていただいている姿を見ていると、我ながら「いいなぁ」なんて、つくづく実感しますよね。こうした気さくな雰囲気というのか、日常性を大切にしていきたいと考えています。
-「恵びす温泉」の歴史は古いのですか?-
私の叔父が1977(昭和52)年に創業しました。叔母の名前である智恵子の一文字を取って、「恵びす温泉」にしたと聞いています。とはいうものの、実は温泉ではないのです。
かつて温泉の虚偽表記が問題になったころ、保健所から連絡がありました。しかし、温泉の効能などをうたっているわけではありませんし、お客さんに沸かし湯であることも説明しているので、問題にはならなかったようです。それに、創業時から親しんでもらっている名称を変えることには、かなりの抵抗がありましたからね。
[wc_row][wc_column size=”one-half” position=”first”]
[/wc_column][wc_column size=”one-half” position=”last”]
[/wc_column][/wc_row]
-ほか、施設の特徴を教えてください。-
お湯の特徴としては、ラドン温浴が楽しめること。浴槽の中にラジウムの原石が入っています。歩行浴や細かな気泡のミクロンバイブラといった6つの湯船がありますので、ゆったりとくつろいでいってください。
これらの設備は2階と3階に分かれているのですが、浴場内で吹き抜けになっていますから、体を冷やさずに移動することができます。
また、当施設の休憩スペースは、フロント側ではなく、脱衣所内になっています。現在の姿にリニューアルしたのは1994(平成6)年なのですが、当時はこのスタイルが定番でした。今では、珍しい景色かもしれませんね。
[wc_row][wc_column size=”one-half” position=”first”]
[/wc_column][wc_column size=”one-half” position=”last”]
[/wc_column][/wc_row]
-最後に、これからの豊富をお願いします。-
そうですね。ランニングのほかにも、「健康をテーマにした何か」ができないかと、模索しているところです。毎日顔を合わせていれば、体調を崩すきっかけがうかがえるかもしれない。お年寄りの方が急に見えなくなったとしたら、電話を一本入れることもできる。健康管理の場というと大げさですが、そんな利用方法があるんじゃないかと。
一方、未体験の人にも、銭湯の魅力を味わってほしいですね。自宅のシャワーでは、ストレスを洗い流せません。お風呂の気持ちよさは年齢に関係ないですから、お子さんだって喜ぶはず。神奈川県の場合、未就学児は大人1人につき2人まで無料ですから、ぜひ、ふらっと立ち寄ってみてください。「意外とイイネ」があるはずです。
【基本情報】
正式名称/恵びす温泉
住所/〒231-0023 横浜市中区山下町161
アクセスJR根岸線「石川町」駅より徒歩約4分
TEL/045-641-3426
定休日/年中無休
営業時間/11:00〜翌1:00
創業/1977(昭和52)年
【料金】
県内共通/大人(12歳以上)470円、中人(6歳以上12歳未満)200円、小人(6歳未満)100円
【設備】
乾式(ドライ)サウナ/湿式(スチーム)サウナ/超音波風呂/気泡風呂/電気風呂/座風呂/歩行浴/ボディーマッサージ/薬湯/ミスト風呂/ラドン浴/水風呂/駐車場/コインランドリー/貸しタオル
[map addr=”神奈川県横浜市中区山下町161″ width=”500px” height=”400px”]