左:「本牧ゆあそび館」外観 上:先祖は福井県出身だという、ご主人の福井さん |
横浜市内で営業を続ける「個性的な銭湯」を応援したい。
そんな想いから始まったこの特集では、「神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合」オススメの銭湯を、順次ご紹介していく予定。その第1弾としてご紹介するのが、中区にある「本牧ゆあそび館」。同組合によれば、「新しいタイプの温浴施設」とのこと。
いったい、どのようなお風呂なのだろう。ご主人で同組合の理事も務める、福井正隆(ふくい・まさたか)さんに、詳しい話を伺った。
-まずは、施設の名称、「本牧ゆあそび館」の由来から教えてください。-
18年前になりますか。私の代にリニューアルをしたのですが、そのとき、「お湯で楽しんでもらう館」にしたくて改称しました。
というのも、先々代が創業した当時の名称は、「竹の湯」だったんです。このエリアに松竹梅がそろっていて、縁起にあやかったと聞いています。
ところが、家庭にお風呂が普及していくにつれ、プラスアルファな「何か」を取り入れる必要に迫られましてね。そんなときひらめいたのが、山手で良く見かける「洋館」のイメージ。現代風な「館」にしてみようと、思いついたのです。
当施設の大きな特徴は、「横浜らしさ」を感じさせる2つのエリアがあること。「大洋のかぜ」エリアは、外国の文明が海を越えて渡ってきた「明治時代」をモチーフにしています。「ゆめはま」エリアは、「みなとみらい21」をイメージした現代風の造りですね。
それぞれ日替わりで、男女入れ替え制になっています。奇数日なら男性が「大洋のかぜ」で女性は「ゆめはま」、偶数日はその逆という仕組みです。
レンガ調がレトロな「大洋のかぜ」エリア |
シックで現代的な「ゆめはま」エリア |
-エリアごとに異なった趣があるということですね。ご主人のアイデアなのでしょうか?-
正直に言うと、そうではないのです。
私は一時、銭湯経営に不安を感じ、大手流通チェーンに勤めていたことがあります。職業柄、大阪や名古屋へ出張することが多く、そうしたなかで見かけたのが、当時としては珍しかった「スーパー銭湯」。
「これだ」と思いましたね。横浜で始めたら、喜んでもらえるんじゃないかって。
もちろん、独自のアイデアも盛り込みました。例えば、校庭などに置いてある「うんてい」、あれが浴槽内にあるんですよ。テレビ番組で紹介されたこともあります。「ゆあそび」の象徴といえるのではないでしょうか。
-ほか、設備面での特徴としては、どのようなことが挙げられますか?-
2階と3階がお風呂になっていることですかね。先ほど、「2つのエリアがある」というお話をしましたが、これらは「左右」で分かれています。一方、「上下」の違いもあるのです。2階部分には、電気風呂など一通りの施設がそろっていますが、県内の共通料金でご利用できます。別料金の3階部分は、先ほどの「うんてい」や「各種サウナ」などをご用意し、「ゆあそび」をより楽しんでいただける「ロイヤルゾーン」となっています。
細かな設備でいえば、最近になって増設した電気風呂、「アクアプログラム」も人気です。電気式のマッサージ器具と同じように、たたいたりもんだりするのと同じような効果が望めます。また、美肌効果があるとされる塩サウナは、女性に大好評です。
発汗作用のある塩を使ったサウナ | 解放感のある露天風呂、のぞかれる心配はご無用 |
-この施設を、どのように利用してほしいですか?-
3つの「ホット」を楽しんでいただきたいですね。
1つめは、お風呂に入れば1時間ぐらいは冷めませんので、文字通りの「HOT」。
2つめは、ストレスが癒やされるというのか、お湯に入って思わず「ウー」と声を出してしまうような「ホッと」。
最後は、人との触れ合いが楽しめる「ホット」スポット。当施設では、中区の事業として月に2回、「DAY銭湯」という取り組みを行っています。さまざまな経験を持つ民間の方を講師に招き、元新幹線の車掌さんなら旅行の話、英語の先生なら英会話などをお願いしているんですよ。また、二枚目の落語家さんを招いて「寄席イベント」などを行うこともあります。10時半からの1時間半、お茶やお菓子と一緒に楽しんでいただいて、12時からお風呂という流れです。
-最後に、読者へ向けたメッセージをお願いします。-
本牧は交通の便が少なく、「陸の孤島」などと言われることがあります。そうしたなか、コミュニティの場として、地域に根ざした活動を続けていきたいですね。
一時は、後を継ごうかどうしようか、悩んでいたこともありました。結局はヒントを得て現在の姿になったわけですが、今では、お客さんの喜ぶ姿を見るのが「やりがい」。関東におけるスーパー銭湯の「ハシリ」という自負はありますが、あまり商業的な要素を押しつけず、「ゆあそび感覚」を大切にしたいと思っています。
また、銭湯を知らない人には、「自宅とは違ったストレスの発散」を味わってほしいかな。お湯に入るというより、「新たな発見」をしに、ぜひ利用してみてください。
正式名称/本牧ゆあそび館
住所/〒231-0864 横浜市中区千代崎町2-41
アクセス/JR根岸線「山手」駅より徒歩約14分
TEL/045-624-1126
定休日/5日・15日・25日(土日曜日の場合は翌日)
営業時間/12:00〜25:00
創業/1938(昭和13)年
【料金】
2階は県内共通の基本料金/大人(12歳以上)470円、中人(6歳以上12歳未満)200円、小人(6歳未満)100円
3階のロイヤルゾーン料金(基本料金含む)/大人(12歳以上)870円、中人(6歳以上12歳未満)370円、小人(6歳未満)170円
【設備】
乾式(ドライ)サウナ/湿式(スチーム)サウナ/超音波風呂/気泡風呂/電気風呂/座風呂/寝風呂/打たせ湯/露天風呂/ボディーマッサージ/薬湯/ミスト(霧吹き)風呂/水風呂/駐車場/コインランドリー/貸しタオル
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