横浜 Viaggio3周年記念企画
横浜物語 Vol.1 『ハマの味を守り、新しい味を生む。横浜醤油3代目の挑戦』
横浜醤油株式会社 代表取締役社長 筒井恭男氏
【プロローグ】
横浜市神奈川区白幡上町の一角に、1500 坪の広大な敷地を有するもろみ醸造所が古くから営まれ ていた。1937 年(昭和 12 年)、初代社長筒井松男氏が組織化し、横浜醤油株式会社を設立した。 人の背丈を遥かに超える直径の桶がいくつも並び、醤油の匂いが立ち込め、土地に馴染んだ、昔な がらの醸造所だった。 そもそも横浜醤油がその場所に醤油工場を構えたのには、澄んだ水と整ったインフラで、良質な醤油 を作り、供給することが出来るという利点があったと3代目は言う。 醤油作りは日本人の暮らしに古くから馴染み、味噌と同じく、一般的な家庭でも作られる事が多かった。
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江戸時代中期には、醤油は広く日本人の味として定着することになり、地域により、その味 や風味を変え風土とともに育まれた。
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横浜醤油株式会社が設立された昭和初期にも、醤油の醸造所は、横浜市内にも多数存在した。正確 な記録がなく確かな年数こそわからないが、横浜醤油の前進となる醤油造りが営まれたのは明治に遡 る。 今は珍しい、浜菱のマークも、横浜醤油株式会社の前から使われていた。いわゆるハマ印を使う会 社は、横浜醤油以外にもいくつもあったそうだが、時代とともにそれも姿を消した。
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父の亡き後、長男である兄が後を継いだが、身体をこわし2000 年に引退することになる。 横浜市神奈川区白幡上町周辺は、当時都市計画の対象地区で土地買収が進んでいた。そんな時代の あおりを受け、横浜醤油も工場の移転を余儀なくされていた。そんな時期だった。
移転問題が上がった時、先代の選択は会社をたたむことだった。 時代と共に次々に姿を消していった横浜界隈の昔ながらの醤油屋と同じく、横浜に唯一残ったもろ みを持つ横浜醤油も、選択を迫られていた。
醤油の匂いに囲まれ生まれ育ち、幼いころから職人たちに混じって、スコップを手に家業を手伝い、 仕事も味も身体で覚えた。しかしその分、醤油造りの大変さも身に染みて知っていた。
「大人になったら醸造所は継ぎたくない。」 作業着にしみつく醤油の匂いと同じ分だけ、複雑な想いも深く刻まれていた。
「次男の負い目も幼い時からどこかあった。」恭男社長はそうつぶやく。
それが「1500 坪の土地とともに、醸造所がなくなる。横浜醤油の味がなくなる。」その問題と直面 した時、ある想いに突き動かされていた。
「横浜醤油をなくすわけにはいかない。この味を絶やしてはいけない。」 今や横浜醤油の味がしっかりとお得意様の間に浸透し、横浜の人や土地に深く根付いく貴重な醤油 であることを肌で感じていた。
― 野球に明け暮れた少年時代 ―
幼いころから野球に夢中だった。ポジションは捕手。
野球で指折りの名門校に進学。甲子園を目指した。
高校野球最後の年。
―野球を断念した― (このストーリーはまたいつか別の機会に)
卒業後は神奈川県内の大学に進学した。兄と同 じ道を進む気はなかった。横浜醤油は兄が継ぐものと思っていた。 しかし、「大学に通わせているからには、醤油工場の仕事を手伝うのは当然の事」との父親の教えの ままに空いている時間は、もろみの中に入って、 手伝いを続けた。
「体力には自信あったから。幼いころから醤油造りにずっと携わっていました。大学卒業後は、学生の頃から馴染んでいた、食の世界、特に発酵や醸造に関わる仕事を重ね経験を積みました。」
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― 横浜醤油が私の代になって 17 年。新しい商品も沢山開発した。もろみ工場を地方 に移し、醸造所の移転もあり、正直初めのころは大変でした。ある意味でゼロからのスタ ートでしたね。もろみ工場を地方に移したことだけじゃなく、新しい場所に移って、新しいお客さんを つける事もあるから。
でもね、醤油って日本人の生活そのもの、日々の暮らしなんですよ。ひいき にしているお客さんが、お中元、お歳暮で誰かに横浜醤油を送るとするよね。 もらった人は、横浜醤油を使ってくれて、ある日醤油を切らすとする。 そうしたら、うちみたいな小さな会社の醤油は、なかなか自分とこの近くの店で手にはいらない。 だから近所のスーパーに並ぶ醤油を買うんですよ。言ってみれば、何の気なしに元の醤油に戻すわ けだ。そうすると、「あれ、味が違う」って。
中にはそんなことがきっかけで、横浜醤油を使ってくれるようになる人がいるんです。 そういう人が何人も、何人も。横浜醤油に馴染んでくれて、本当の意味で横浜醤油を選んでくれる ようになるんだね。 醤油が出来上がるまでの期間もそうだけど。ゆっくりじっくり、スロースロー、スローペースの仕事です。
私たちはそうやって自 分たちの仕事を続けている。醤油を作り売るっていうのは、そういう事だと思っています。―
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― 大手の醤油メーカーではできない作り方、方法で横浜醤油を守り続ける ―
醤油を製造するメーカーは全国におよそ 1500 社。大手5社が市場の半数以上占め、中堅の会社を 含めると 75%を占めるという。その中で横浜醤油は、先代からの地盤を引き継ぎながらも、新し い方法と工夫で、独自の路線を開拓し横浜醤油のブランド力を高めるようになった。
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2000 年。横浜市神奈川区白幡上町の 1500 坪のもろみ醸造所から、同区内松見町に移転。 もろみ工場を岐阜にある共同醸造所での管理に変えての再スタートだった。 学校や病院、地域商店街などの団体への提供に加え、スーパーや飲食店と取引先を増やし、一般の 家庭への直売も含めて、顧客開拓を積極的に行った。
恭男社長の代になると同時に、さまざまなことが一変する訳だが、中でも注目すべきは、 横浜醤油の味を守りながらも、新しい味を生み、斬新な商品の開発に積極的に乗り出した点にある。
「大手は加熱処理、大量生産して、3カ月で商品が出来上がる。その点、横浜醤油は、無添加にこだわり、昔ながらの製造方法により、出来上がるまでに半年から1年かかります。」恭男社長は言う。
横浜醤油は受注生産制を採用している。手間と時間のかかる製造工程を小規模な醸造所が一元管理する上では大量生産はリスクが大きい。受注生産制により、コストを抑え合理的に製造する道を選 んだ。それは同時に、主要の醤油以外にも、さまざまな料理に合わせて味付けされた醤油やソース、 変わりダネの開発、商品化が実現しやすいことにもつながった。
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ここで3代目筒井恭男社長が開発した絶品商品の数々を一部ご紹介。
- めんつゆ辛口・甘口
- はまこっこ専用醤油
なんだか、商品名からしてパンチの効いた個性的なものあり。
次回は、筒井社長が開発したこれら商品の、「一度食したらくせになる。どれもが絶品、横浜醤 油の魅力」に迫る。
【会社案内】
横浜醤油株式会社 http://www.yokohama-syouyu.com/
〒221-0005 神奈川県横浜市神奈川区松見町3-1-6
TEL:045(401)9317 FAX:045(401)9319
E-mail:info@yokohama-syouyu.com
ACCESS
JR横浜線「大口」駅から徒歩10分ほどです。
横浜線に乗るには「横浜」駅の隣、JR京浜東北線「東神奈川」駅からご乗車して頂き、次の駅が「大口」 になります。
【次回(後編記事)予告】
― 筒井社長が生み出した商品の開発秘話を交え、横浜醤油の味の魅力、筒井社長の斬新なアイディア の数々を紹介
― 筒井社長からお土産でいただいた商品を早速使い、横浜 Viaggio 特製、「横浜醤油のお料 理レシピ」をご案内
簡単だけど、いつものお料理が一味もふた味も良くなること間違いなし! どうぞ、お楽しみに♪
※)横浜醤油の商品販売ページを特設いたしました。横浜Viaggioレシピは次回ご案内いたします。
■こいくちしょうゆ(本醸造) 金ラベル
http://animato-ma.shop-pro.jp/?pid=121068035
■こいくちしょうゆ(本醸造) 東海道ラベル
http://animato-ma.shop-pro.jp/?pid=121068094
横浜 Viaggio からお買 い求めいただけます。(横浜醤油ラインナップ全商品ではありません。また各商品6個から 12 個と、 数に限りがございます。)
『ハマの味を守り、新しい味を生む。横浜醤油3代目の挑戦』後編(8/30予定)
「食べる醤油」が生まれるまで。 なぜ新しい味を開発するの?なぜそのネーミングなの? 素朴な疑問と、絶品「食べる醤油」の誕生までを追います。